【日米戦争を策謀したのは誰だ!】林千勝著 2019年刊 太平洋戦争はソ連のコミンテルンの策謀で米国、日本の共産主義者がルーズベルト・近衛文麿を操って仕掛けた

「フーヴァー回顧録」(英語版2011年刊、日本語版2018年刊)

この本は、米国の元大統領フーヴァーによる「フーヴァー回顧録」(英語版2011年刊、日本語版2018年刊)と史実の突き合わせで、林千勝氏がまとめ上げ2019年に刊行した。

私は、日本が満州事変から太平洋戦争に突入するまでの、昭和天皇、陸軍、近衛文麿の動きが、チグハグで理解に苦しむところが多かったのであるが、林氏は史実と「フーヴァー回顧録」の突き合わせで真実に迫ってゆく。

近衛の行動の理解不明なところ

とりわけ、近衛の行動の理解不明なところは、天皇の質問をはぐらかしたり、戦争するしかないと、天皇の了解も得ずに関東軍に軍事予算をつけてしまうというところにあった。林氏の著書は、その背景を教えてくれた。

主役の3人

ここでの林氏の描き出す人物は3人
① 平和を希求する天使:フーヴァー
② 悪魔の使い:ルーズベルト
③ ピエロ:近衛文麿
②悪魔の使いと③ピエロが、コミンテルンからの送り込まれた国際共産主義者に操られながら、それぞれの野望を遂げてゆこうとする姿が描かれる。
山川の日本史図録ではこの部分である。

山川日本史図録から

① 平和を希求する天使:フーヴァー

先に、①フーヴァーをまとめて述べると、1928年に共和党から米国31大大統領になるも、1929年の大恐慌対応がまずく、1932年の大統領選挙で②悪魔の使い:ルーズベルト(民主党)に圧倒的大差で敗れる。
米国の孤立政策を支持し、③近衛文麿の日米和平の(表面的努力)を信じていた。日本には行った事がなく、海軍がリベラルで陸軍は軍国主義と思い込んでいた。
戦前、戦中、戦後②ルーズベルトに対して「戦争回避」を訴え続けるも無視され続けた。
1941年には出身のStanford大学にフーヴァー研究所を寄付し、太平洋戦争に関する資料の収集を開始している。
林氏は、③近衛文麿の本音が掴めなかったところが①フーヴァーの和平仲介の出番が取れなかったと位置付けている。

② 悪魔の使い:ルーズベルト

では、次の②ルーズベルトである。
彼は、大恐慌からの復興を「経済コントロール」により達成することを掲げて、あたかも社会主義国家の如く政治主導の計画経済を押し進める。
当時、政府要員を大量に募集するが、その時にコミンテルンからのスパイや1919年に設立された米国共産党員も採用した。
コミンテルンの狙いは「最終世界統一共産党革命の達成」であり、そのシナリオは、日米対戦による、米国勝利、日本敗戦、その後の日本の共産党化である。
そのためには、日米は戦わせなければならないのが「至上命令」であった。

③ ピエロ:近衛文麿

さて、日本の③近衛文麿に入ろう。
近衛家は、藤原家の正統的な流れの家系で、道長の時代には、娘たちを天皇に嫁がせて、天皇家を(こっそり)操ってきた実績がある。
③近衛文麿には、この意識がとても強かったという。
天皇からの呼び出しがあっても参内しなかったことも多々あったという。
いわゆる、京都の公家が武士の時代を生き延びてきた「したたかさ」を身にまとった人間だった。考えていることと、言うことと、やる事が異なっても意に介しないのである。
京大ではマルクス経済学を学び心酔したゆえ、周りには共産主義者たちが集まっていたし、③近衛文麿は、彼らを利用して自分の野望(天皇をコントロールする)ことを目指す。
彼を取り巻く連中で、グループ分けをすると次のようになる。

近衛の取り巻きは、コミンテルンが中心

A共産主義者:尾崎秀実・風見章
B国際金融資本系列:松本重治・牛場友彦・白洲次郎
C海軍:米内光政・永野修身・山本五十六
D中丸文書:有沢広巳・蠟山政道

Aの尾崎はソ連のスパイでゾルゲと共に暗躍し、1944年に処刑されている
風見章は信濃毎日の編集者で、③近衛文麿首相時の側近としてコミンテルンの意向に沿った、戦争志向で世論やマスコミを操縦した。

Bのメンバーは、1925年にハワイで発足したIPR(太平洋問題調査会)の日本メンバーが中心で、IPRはコミンテルンの米国展開への足掛かりでもあった。
新渡戸稲造もメンバーの一人であったが、1933年のIPR会議(Van Couver、Canada)で和平仲介に奔走したが客死した。

Cの海軍メンバーは相互に大変仲が良く、海戦当時の海軍大臣:米内光政、永野修身そして、海軍次官 山本五十六らは緊密な情報のやり取りをしていたが、終戦と同時に、それらの手紙を全て焼却したという。

D中丸文書は、陸軍中丸中佐がプロジェクトチームを作り、共産主義者でも優秀だった有沢広巳・蠟山政道らをメンバーに入れて、日本軍のかつシナリオを作成した。
ここのポイントは「米国とは絶対開戦しない」「南進してイギリス領を攻め、ドイツと挟み撃ちにして降伏させる」と言う内容。
戦争勝利のシナリオで、の後のチャーチル回顧録でも「日本の勝機はナチと日本の同時英国攻撃だった」と書かれていると言う。

近衛の藤原家源流志向

林氏の「フーヴァー回顧録」と史実の突き合わせをまとめると次のようになる。
③近衛文麿は、藤原家の源流を夢想し「天皇家をコントロール」したかった。
コミンテルンは、利用できるだけ利用して、敗戦責任を天皇に被せて自分がその後を目指した。
取り巻きも、③近衛文麿はコミンテルンを信じている活動していると思い込んだし、①フーヴァーも③近衛文麿は和平主義者だと誤解していた。
それほど、の役者であった。
そして、林氏は③近衛文麿は自殺ではないと言っている。口封じだと言うわけだ。

太平洋戦争の記録がまとめられる事で、新しい視点が開ける。
林氏のこの本は、私に今までの帝国陸軍のイメージ(①フーヴァーと同じく陸軍=軍国主義)を覆すものであった。
この本を読みながらまとめたマインドマップがあるので、添付します。
【日米戦争を策謀したのは誰だ!】

人生100年時代の学びの視点

人生100年時代の学びで、過去の考え方が大転換する経験をした。
なかなか真実が掴めない中で、考えるきっかけをもらえた。
しかも、この背景を知っている先輩が家のそばにいる事がわかった。
早速お邪魔して、③近衛文麿の周辺の人物について林氏の見解は正しいかと聞いたら、「正しい」と言う答えだった。
③近衛文麿の自殺も実は口封じだと。
そして東條の自殺未遂は米兵に撃たれたと。(反抗したから)
知れば知るほど、真実から遠かった自分がわかる。
学びは続くどこまでも
長文お読みいただきありがとうございます。

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