【日本の誕生】長浜浩明著 2019年刊 記紀を読み込み、事実を丹念に拾い、KJ法思想を使い、日本の歴史を再構成した、理科系頭の歴史解説書 日本の歴史の一つのテーゼ

[私の学び]

理科系の頭の人が、古事記、日本書紀(記紀)に立脚した上で、DNA解析結果、遺跡の発掘事例をもとに日本の天皇の系図を年代とともに当てはめた秀作。
データを解析する力が、どれほど重要かわかる。
サラリーマンだった人が、日本の歴史を再構成した。

著者前書き

真実に迫るには、先入観を排除し、日中韓の正史を恣意的に解釈せず、正面から取り組み、年紀を明らかにし、科学的知見に基づき、様々な角度から論理的に検討を加えねばなりません。他に解きようがあるべくもなく、ここに皇室と日本人のルーツと、わが国の建国の事情を解き明かすことができたと信じています。

KJ法、川喜田二郎氏とフィールドワーク

川喜田二郎、その講義を通して学んだことはただ一つ。 〝ある民族や事象を把握するには定説や既成概念にとらわれてはいけない。立派な肩書きの人の意見も根拠を確かめよ。多数決も意味をなさない。持論にとらわれてもいけない。多方面から可能な限りデータを集め、分析し、玉石を見分け、虚心坦懐にデータをして語らしめよ〟

遺伝子データで、「中韓から日本人祖先が来た」説は否定される

こうしてY染色体の解析は、〝日本人男性の祖先は、今から三千年前に半島や大陸からやって来た人々ではなかった〟が正しく、司馬史観、〝韓国は日本人の祖先の国〟は誤りであることが証明されたのです。

仮に縄文系の男女がシナからやって来た渡来人により皆殺しにされ、日本人が縄文系から渡来系に入れ替ったなら、日本人男性のY染色体のパターンは中国人や韓国人に酷似しているはずです。しかし、日本人男性のY染色体のハプログループは彼らと大きく異なっているからです

D1bが日本人の特徴
遺伝子からみた日・韓・中・琉球・アイヌ民族

江藤淳の教え

江藤淳は(戦後GHQに仕え、内幕をよく知っている)「戦後の日本には言論の自由は一切なく、全てが検閲を受け、今日の言語空間が形成された。現行憲法も占領期に米国から与えられたものだ」とおっしゃる。しかも「検閲は違憲行為ゆえにタブー視され、反米親中ソの社会党、共産党から朝日新聞、NHKなど、誰もが口を閉ざしてきた。だから一般国民はこの事実を知らない」というのです。

記紀を読み込まない人々への強烈な批判

即ち、今までシナは倭国と外交関係を結んできたが、その地は大和朝廷が併呑し、以後、シナと外交関係を結ぶのは大和朝廷・日本である、と宣言したのです。それ以来、シナの正史に〝日本〟なる国名が正式に登場するようになり、わが国の名称は〝日本〟で統一されたのです。このことを理解していたら、お二方の魏志倭人伝への疑念は氷解していたと思われます。

長浜氏に取り上げられた、記紀を読み込まない(あるいは読めない)人々。
田中英道  渡辺昇一 上田正昭 井沢元彦 司馬遼太郎 直木幸次郎 江上波夫 岡田英弘 的場光昭

GHQ検閲史観からの脱出はデータから

長浜浩明氏は、東工大在学中、川喜田二郎氏のフィールドワークで、データから何が言えるのか、を学んだ。そして江藤淳氏からはGHQの検閲が、日本の古代史をねじ曲げたことを知る。
現在、DNA解析技術、年代特定技術で過去の仮説が大きく書き換えられている。再度原点に戻り、日本の歴史を再構成する必要がある。

江戸時代は日本人が輝いた時代だ

日本人の精神レベルが、江戸時代が一番高かったのではないかということを最近考える。周りの人が困っていれば助けたり、お互い様精神があった。そして、異国の人が日本人の武士の節操、庶民の教育レベルの高さに驚いた話を少なからず見つける機会があった。

人生100年時代の学びを掲げる私としては、もう一度日本の古来を知る必要があると考える。この著作は、歴史学者ではない長浜氏が事実を追求し、記紀の世界に年代を当てはめたところが画期的である。
私の尊敬する田中英道氏も、批判の対象になっているが、歴史は新しい事実が出てきたとき議論することが大事である。
この著作は、日本の歴史の一つのテーゼとなった

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