【ユダヤ人とユダヤ教】市川裕著 2019年刊 岩波新書 東大定年退官で集大成した「ユダヤ教のラビシステム」の「破壊と再生」の「知の格闘」の歴史 学ぶことは生きること

ユダヤ人は、ユダヤ教に「律法学者」=ラビ制度を導入
ユダヤ教を学問として進化させてきた
その歴史の中で、ユダヤ教徒はイスラエル帰還法(1950年制定)による帰国したユダヤ人
① 学問を発展させ
② 政治や経済のシステムを考案し
③ 世界の仕組みの構築に寄与した

ユダヤ人の定義

A. ソロモンの時代から流れを汲むユダ族の人々
B. ユダヤ人の母親から生まれた子
C. 中世以降ユダヤ啓示法(ハラハー)による
D. ユダヤ教への改宗者
E. 中世以降ユダヤ啓示法(ハラハー)によるラビの権威に服従し、タルムードの教えのもとに生きる人

F. 1948年のイスラエル建国前後に戻ってきた人々は、イスラエル帰還法(1950年制定)でユダヤ人として認定される。
しかしユダヤ人としての判断が境界線上の人々もいる
建国前後にやってきた    イエメン出身集団
建国以降移住した      エチオピア出身集団
ソ連崩壊後1990以降移住した旧ソ連出身集団古代ユダヤ人

紀元前後のユダヤ人

モーセの戒律で生活していた
キリスト出現の頃は    
賢者輩出の時代
しかし70ACローマ帝国との戦いで敗戦・神殿破壊・国土の崩壊・首都崩壊
その後、パックスロマーナ

ラビ(律法学者)とは?

、賢者と呼ばれるが聖職者ではない
ユダヤ固有の法を制定(ミシュナ)
パレスチナとバビロニアでそれぞれ400AD タルムード、500AD タルムードが制定された

イスラム世界の出現が中世の開始

中世に入りイスラム勢力が継承
イスラム世界からヨーロッパへ
バビロニアでユダヤ人は活躍
学問
法学・哲学・科学・医学・言語学交易

ユダヤは地中海へ

ユダヤ人の9割はイスラム世界に住む
アラビア語での法学が学問の中心
セム的一神教/ユダヤ啓示法(ハラハー)
イスラム教/シャリーアが整合した

イスラム教ではウンマ(宗教共同体)として少数宗派も尊重
ユダヤ人は啓典の民として庇護された
イスラム領内で交易で活躍
イスラム商人
ユダヤ商人
後ウマイヤ朝のスペインでユダヤの黄金時代
フランク王国とも交易
アルプスを越えライン川沿いに移住
アシュケナジ系ユダヤ人
敬虔さ殉教
ポーランドへ1264年 カリシュ憲章でユダヤ人保護
交易・貨幣鋳造
王侯貴族に仕える
民衆から憎まれる側

ユダヤ人共同体:ケヒラーと呼ぶ
シナゴーグ
児童の宗教学校ヘデル
タルムード学習のベイト・ミドラシュ
1348年ペストの流行でユダヤ人は迫害を受ける
スペインではスファラディ系ユダヤ人が東欧へ

キリスト教の復活とユダヤ弾圧

正統的キリスト教徒以外の少数集団は徹底的に弾圧
1492年グラナダ王国陥落
レコンキスタユダヤ人追放
バルカンのオスマン帝国へ逃げる

ユダヤ人神秘家・カバラー研究
ヴェネチアへ逃げた人々は1516年 ユダヤ人ゲットーを作る

その後、オランダ・ドイツにもゲットー
1658年オランダはユダヤ人に市民権

ロシア・プロイセン・オーストリアによる3分割

高等学習・イエシュバ
1772年 ロシア・プロイセン・オーストリアによる3分割
1881年 ロシア皇帝アレクサンドル二世暗殺
ユダヤ人への迫害「ポグロム」開始

逃げるユダヤ人

米国:映画産業へ
ロシア:社会主義へ
パレスチナへ

哲学的合理性と中庸
メンデルスゾーン1729ー86ドイツ人ソクラテス
キリスト教国家の中でのユダヤ人の意識改革を訴える

フランスの人権宣言にはユダヤ人も対象に含まれる

ユダヤ人はナポレオンを賞賛
ユダヤ教が宗教要素として自立
普仏戦争に負けた仏では反ユダヤ主義蔓延
1894年ドレフュス事件
ユダヤ人ドレフュス大尉の冤罪
WWI敗戦後、ドイツ社会のワイマール憲法からナチへの急展開

ナチの迫害

劣等人種の絶滅
アメリカへの大量移民
ユダヤ人の移民先が繁栄した歴史を繰り返すのか?
1948年イスラエル独立

ユダヤ教は宗教か?

ユダヤ教もイスラム教も神と生活規定が並存している
ギリシャの思想に触れ「ユダイモス」の概念を導入
ヘブライズム
モーゼの律法以前の一神教アブラハム信仰
70ACローマとの敗戦後離散

ラビ・ユタイズム

200AC 口伝律法ミシュナ成立
持ち運びのできる国家
成文トーラーと口伝トーラーの並立
ヘブライ語の採用で、ギリシャと決別
ラビ・ユダイズムがユダヤ教
ラビの知識と行いを尊敬する
人はパンだけではなくトーラーにも生きる
シナゴーグ礼拝でトーラーを聴く
シュマアの朗読
18祈祷文・十戒・613戒

生活の場ででのユダヤ教

神の時間秩序
安息日
土曜日の朝から夜まで一切の日常労働からの解放
十分な美味しい食事・家族の団欒
文字を書かないで行う神のための学問
シナゴーグでのトーラー朗読、説教、聖典の学習と議論、典礼歌
全て生きる喜びを増すため
来るべき世への準備
祝祭日で、過去の民族の経験を追体験する神の教えを学ぶこと

学びの順序

5歳で聖書(ミクラー)
10歳でミシュナ
13歳でミシュナ
15歳でタルムード
18歳でフッパー(結婚)

生涯モデル

20歳で追求、30歳で力に満ち、40歳で識別力、50歳で助言、60歳で長老、70歳で白髪、80歳で健やか、90歳で腰曲がり、100歳であたかも死んでこの世を去り消え失せたかの如し

断食は過去の追体験

東欧における神秘主義の浸透
コスモスとアンチコスモスの闘争が創造界
ユダヤ神秘主義(カバラー)

フランス革命以降

フランス革命以来の個の独立との整合性も取り込む必要が生まれた
19C後半~20C前半の国家主義・民族主義との整合性
帝政ロシアのもと、パレスチナに移住して農業に従事:シオニズム運動

現在のユダヤ社会

居住する国家に忠誠を誓い、宗教としてユダヤ教を信奉する
超正統派:ハラハーに従って生きる
民族としてのユダヤがイスラエル国民タルムードの学問
口伝トーラーの学習

知の蓄積した聖典タルムード

500AC バビロニア・タルムード
ユダヤ啓示法(ハラハー)
200AC イエシヴァ(学塾)
16Cにヴェネチアでバビロニア・タルムード印刷
原本余白に書き込み
やりとりが集積する
ラビと弟子
モーゼとヨシュア
弟子には新たな問いの発見と実践が求められる
全ての問いはモーゼにつながりそこで解を得ることになる仕組み
矛盾をぶつけるプロセスを尊重する

ユダヤ哲学の系譜

ギリシャ哲学は形而上学的思索を突き詰める
アレクサンドリアのフィロンがギリシャ哲学に則りモーゼの律法の意義を論じるしかし、その後のラビはギリシャ語を拒絶 ヘブライ語を採用

マイモニデス:1135-1204コルドバ生まれ
ミシュネー・トーラー 1178
ギリシャ的学問を身につけヘブライ語の聖書を正しく理解する
ベン・アシェル:13C 四列
ヨゼフ・カロ:1488-1575 スペインを追放される 
シュルハン・アルーフ
モシェ・イッサーレスがアシュケナジ要素で統合ユダヤ精神

東欧の肥沃な精神世界
ヴォロジンのイエシヴァ(学塾)1802発足
19C リトアニアでのタルムード学の再生
これが現代につながっている

学ぶことは生きること

タルムードのラビたちが語ることは、教化的言説ではなく、彼らの知的な格闘の軌跡であり、果敢で知的な切開作業である

ユダヤ教の現代につながる成果

近代西欧の学問を取り入れた
マルクス・フロイト・アインシュタイン
ユダヤ人経済活動
交易が生きる糧
16C オスマン帝国スレイマン朝に重用された
大航海時代

米国でのユダヤ人の活躍

銀行経営
石油開発
コスモポリタニズムと宗教的寛容が必須

経典の利子取立て禁止をどう乗り越えたか

利子を取ることは宗教上禁止

債権者と債務者が共同で事業を行い利益と損失を双方が負担する。債務者は労働の報酬を債権者の利益の中から受け取る

ロスチャイルド家の出現

ロスチャイルド家経済や金融でのユダヤ人の才覚は、マルクスの言うユダヤ人に霊感を与える「一〇番目のミューズ」のたとえからもうかがえるように、西欧では近代の初めからすでに特別視されていた。なかでもロスチャイルド家の隆盛は際立っている。ロスチャイルド家は、フランクフルトのゲットーから身を起こし、両替商を経て選帝侯の御用商人・融資者として財をなしたマイア・アムシェル・ロートシルトを祖とする。

注目されるのは、マイア・アムシェルの五人の息子たちは、それぞれ拠点とする西欧各国に同化し、近代国家の発展に大きく寄与したことである。長男アムシェルはフランクフルトにとどまり、次男ザロモンはウィーンへ、三男ネイサンはロンドンへ、四男カールはナポリへ、五男ジェイムズはパリへと移り住み、次男以下はそれぞれ分家として根を張った。なかでも、三男ネイサンの英国ロスチャイルドの存在は、帝国主義時代の大英帝国にとって重要であった。資本主義経済の根幹をなす金融で覇権を握った英国ロスチャイルドは、やがてフランクフルトの本家をしのぐ一族の中核となり、国際金融の世界で一大勢力を形成するに至るのである。米国での職業

①宝石・貴金属・毛皮・玩具・繊維業
②情報通信産業
③メディア
④小売業
⑤不動産業
⑥金融ビジネスユダヤ人の人生目標

神に選ばれた民

聖書・ミシュナ・タルムードを学ぶ
神の教えとトーラーに従う生活
アダムまで遡る・ノアの7戒
2つのメシア論
普遍主義メシア論
同等の市民権
米国ユダヤ人
個別主義的メシア論
イスラエル国の建設
イスラエルユダヤ人
シオニズム

現在、ユダヤ人の約半数がイスラエルと米国に住むという。
ユダヤ人が住み着いたところは歴史的に見ても、繁栄を謳歌しているのは事実である。
この本は、ユダヤの歴史から紐解き、70AD以降に流浪となった後も「機会のあるところに移動し」「持てる能力を最大限発揮」したことが窺える。

そして、経典は「律法学者」がラビとして教え、実践してタルムードに意見を書き残してゆくことで、「知の蓄積」と「時代の変化への対応」を行ってきたことがわかる。

イスラム教が繁栄した時代の中世でも、ユダヤ教徒は、交易だけでなく、学問の分野でも大活躍をして、近世の科学へと繋ぐ道をつけている。
人生100年大人の学びで、手本にしたい話である。
いよいよ始まった、世界大変動。
この時こそ、学ぶには最大のチャンスである。

このタイミングでこの著作に出会えた幸運に感謝したい。

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