【スクエア・アンド・タワー 上】ニーアル・ファーガソン著 2017年 英語版刊 柴田裕之訳 2019年 日本語版刊 歴史の変化をネットワーク(スクエア)と階層制(タワー)の交わりから読み解く大著 混迷する現代を抜け出すヒントに溢れる

著者の前書きから

私はオックスフォ ード 、ケンブリッジ 、ニュ ーヨ ーク 、ハ ーヴァ ード 、スタンフォ ードと 、一連の有名大学に勤務してきたから 、複数の大学の同窓生や教職員の網に自動的に所属していた 。著述家と教授をしている結果 、世界経済フォ ーラムやビルダ ーバ ーグ会議のような 、多くの経済ネットワ ークや政治ネットワ ークにも加わってきた 。ロンドンの 3つのクラブとニュ ーヨ ークの 1つのクラブのメンバ ーでもある 。そして現在 、グロ ーバルな資産管理会社 、イギリスのシンクタンク 、ニュ ーヨ ークの美術館の 、計 3つの法人の理事も務めている 。
やるのがいちばん楽しいのは 、興味があるテ ーマについて本を書くことだ 。
ロスチャイルド家の銀行の歴史 、ジ ークムント ・ウォ ーバ ーグのキャリア 、ヘンリ ー ・キッシンジャ ーの生涯を取り上げるといった最高のプロジェクトは 、自分のネットワ ークを通して私のもとに巡ってきた 。ごく最近になってようやく 、それらがネットワ ークについての本でもあったことが理解できた 。

階層制の世界とネットワ ークの世界は交わり 、相互に作用する 。大きな企業ならどれでも 、内部には公式の組織図とはまったく違うネットワ ークが存在する 。依怙贔屓しているとして 、従業員が上司を非難するときには 、 5階の人事部が管理する正式の昇進過程に 、何らかの非公式の関係が優先しているということだ 。違う会社の従業員が仕事の後にいっしょに一杯やるとき 、彼らは企業の垂直の 「塔 」から社会的ネットワ ークの水平な 「広場 」へと移る 。ここが肝心なのだが 、それぞれ異なる階層構造の中で力を持っている人々が出会い 、ネットワ ークを作ると 、重大な影響を及ぼしうる 。

シリコンヴァレーは、スクエア・アンド・タワーの結果

私たちがシリコンヴァレ ーと結びつけるテクノロジ ー革命は 、階層構造の制度や組織の危機の原因というよりもむしろ結果であると私は主張するが 。 2つの時代の合間に当たる 、 1 7 9 0年代後期から 1 9 6 0年代後期までの期間には 、逆の動向が見られた 。階層構造の制度や組織が再び主導権を握り 、首尾良くネットワ ークを機能停止に追い込んだり吸収したりした 。

諸大学では多様性がもてはやされるなかで知的多様性はないがしろにされているように見える時代にあって 、フ ーヴァ ー研究所は自由な探究と独自の思想の 、仮に唯一無二ではないにせよ稀な砦だ 。私がケネディスク ールのベルファ ーセンタ ーやヨ ーロッパ研究センタ ーを訪れると 、今でも物事を考える手助けをしてくれるハ ーヴァ ードの元同僚たちや 、ジョンズ ・ホプキンズ大学ポ ール ・ H ・ニッツェ高等国際関係大学院キッシンジャ ー ・センタ ーと北京の清華大学シュワルツマン ・カレッジの新しい仲間たちにも感謝したい 。

シリコンヴァレーネットワークの変質

私は、シリコンヴァレーがネットワークの活用の世界最高レベルなところだと思って1997年から住んでいる。もちろん、その通りであるが2010年以降、私が移り住んだ当初のネットワークが大きく変化していることを感じる。
簡単に表現すると「フラットでないネットワークが急増している」のである。

これは、リーマンショック以後GAFAMが急拡大し、それぞれの分野での覇権をグローバルに握ってきたこととつながっている。それと同時に、グローバリズム一辺倒だった世界が急速に方向性を見失い、GAFA対抗勢力中国のBATHの急成長もそれに拍車をかけている。そして、英国のEU脱離に見られるナショナリズムの台頭もある

この著作は、過去500年に遡って現代まで、個人のネットワークが社会の変革とどう絡んできたかを丁寧にまとめている。解説書というよりはデータブックである印象が強い。

ニーアル・ファーガソンとの邂逅

私は、ここ5年間英語の翻訳勉強会をオンラインでやっている。
参加する人が、自分で英文記事を見つけて翻訳し、それを私が添削して、その結果を持ち寄って毎週土曜日朝9時にオンラインでディスカッションする。

最近参加した方が、ロスチャイルドの歴史に興味があるということで、翻訳を始めた本が、ニーアル・ファーガソン著の「ロスチャイルド」
フランクフルトのゲットーからのし上がってゆく姿が描かれる。
この本が、ロスチャイルド家のCharlotteさんのお勧めなのである。

Oxfordのメンタリティ

私は、昨年暮れからユヴァル・ハラリの著作
サピエンス全史
ホモ・デウス
21のレッスン

を読んできた。
ハラリもOxfordで学んでいる
知性はOxfordと思わざるを得ない。

日本の強みを生かした未来構想

これだけの時代の混迷の中で、日本の将来に私が貢献できることが何か?は人生100年時代の大人の学びの一番重要なテーマである。
ニーアル・ファーガソンをきっかけに、ユダヤ人(特に日本の歴史の中で)、グローバリズム、ナショナリズム、の絡みを解くことが私のプロジェクトとなった。

これからの日本を考える上で、日本の
「美意識」
「融和性」
「文化消化能力」
「平和主義の思想背景」

が強みになると確信。
ニーアル・ファーガソンのつながりから、急展開したお話しでした。

3/1(日)15:00から、新しいプロジェクトに関する東京での講演会を開催します。

3/1(日)の詳細と参加申し込みはこちら → [参加申し込み]
皆様とお会いできるのを楽しみにしております。

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