【資本主義と闘った男】宇沢弘文の20世紀 佐々木実著 2019年刊 近代経済学へのアプローチで世界最高の頭脳と言われた宇沢弘文 米国での弟子が続々とノーベル経済学賞を取る中で、日本へ戻り、東大経済学部の教授となる。そして、環境を経済要素に入れる先駆的な発想を持つに至る。それを抱えながら、現場に関わってゆく環境の経済要素こそ 現代の最大の論点である

学びの仲間に勧められた著作

私の学び仲間内田一成氏から教えていただいた著作。彼は、レイライン・ハンターとして日本古代史を再構成しようとしている。
レイラインハンター日記

20世紀経済理論の総括がなされる

この本は、20世紀経済学のまとめとして素晴らしくまとめられている。
ケインズ経済学がルーズベルトのニューディール政策の経済根拠として扱われたが、結果的に失政とみなされ、その後数多くの経済学者のあまたの経済理論をフォローし、最終的にフリードマンがグローバリゼーションとして世界中に広まった状況を、丁寧に参加した人々の理論、行動、位置づけを明確にしている。

新しい経済理論の中心に「宇沢弘文」がいる

数学は、宇沢が最も得意とすることであった。そして、近代経済学が「数学の応用」であることに気づき、経済分野へと進んだ。そして、数学の背景となる理論構築で頭角を現す。そして、米国に留学し数々のアイデアを出し、多くの弟子たちを育てる。そして、ノーベル経済学賞を受賞する学者たちが続々と出てくる。

東大経済学部での「現場主義」「公害」

しかし、宇沢は1968年に東大経済学部に戻る。(私の入学した年でもあるが)
当時の経済学部はマルクス主義経済学が主流で、近代経済学の教授は数えるほどしかいなかった。

そして、当時の全共闘闘争への解決策の模索、チッソによる水俣病公害という現場へのコミットに関わってゆく。
日本に戻ってからの宇沢は、理論や論文の発表は激減する。

そして「環境」の経済指標模索

その代わり宇沢は、岩波新書から「自動車の社会的費用」という一般向け啓蒙書を上梓する。自動車という産業の成り立ちに、道路建設や自然環境の大小などを考慮に入れる必要があるという主張である。(私も当時読んだはずだが、覚えていない)

課題設定から解への道のり

宇沢が、米国で活躍できた一番の背景は、課題設定から解への論理的手法が優れていたからで、それが理由で弟子たちからノーベル賞が排出されることになる。
しかし、公害コスト、環境破壊コストは一筋縄ではゆかず(周囲からの積極的な応援も多くなく)解決は無いまま2014年、世を去る。

碩学の課題設定の行き詰まり

私はハラリのサピエンス全史を以前取り上げた。
ハラリも、先は想定できるが、それに対する解はまだ提示できていない。
宇沢の課題設定も同じ状況である。

これは、決して偶然ではないと確信する。
課題がそれだけ難しくなっているということ。
そして、ロジックだけでは進まないということ。
歴史の流れを学ぶことで、課題に難しさが見えてくる。

我々の問題だ

近代経済学のグローバリズムはもはや機能しなくなっている。
その中で、これからの人類の未来、日本人の将来を考えることは、喫緊の課題である。
まずは、ものを見る目をしっかり持ち、世界の動き、歴史との絡みを把握することから始まるだろう。

人生100年大人の学びは、未来を作る上でも重要な作業である。
大いに学んで、納得できる社会を作ろうではないか。

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