【暴力と不平等の人類史】ウオルター・シャイデル著 日本語版 2019年刊 不平等を緩和する4つの要因 戦争/革命/崩壊/疫病 を歴史的に検証する大著 国際金融資本が抱える課題を解く 疫病の広がりの中、我々に今必要な思考論理がここにある

平等化のメカニズムの研究

目的は平等化のメカニズムの研究である
データの精度が向上して昔の経済レベルの予測が使えるようになったのはここ数年のことである
指標は2つ ジニ係数所得上位1%の占める所得シェア率

歴史的に見た不平等の出現

農耕と牧畜で余剰が発生し政治体制上優位な人間が経済的にも豊かになった
いずれも権力者の周辺に富の機会があった

1章 不平等の出現

進化による優者の出現
武器の発達
暴力行為の組織化
食糧生産に始まる余剰の蓄積と伝達
穀物栽培が蓄積を可能とした
BC6C以前は帝国は小さかった
作るか
奪うか
分配は支配者に近いほど有利だった
ピケティの不平等水準
経済成長率r>資本収益率g

2章 不平等の帝国

古代中国:漢王朝 BC202-AD220
官職が生み出す莫大な富
宋の時代に私有地の解放
清朝の腐敗政治
現代中国共産党幹部の錬金術
ローマ帝国
領土拡大によりもたらされた富
属州からの収入
戦利品の分配
帝政ローマでの皇帝への寄進

3章 不平等の拡大と圧縮

ローマ帝国からの欧州が検証しやすい
ローマ帝国と中世盛期
ローマ帝国円熟期の不平等
ローマ帝国衰退期の平等化
中世にはローマ貴族ほど豊かな階級は無し

疫病の衝撃

1347年〜1400年 欧州の人口の1/4が死亡
経済の発展
オランダ都市部の発展
イタリ富裕層と労働者の分化
不平等化のメカニズム
経済成長
商業化
都市化

長い19世紀:近代経済成長の始まり
アメリカの不平等化
南北戦争の動員率 北軍10% 南軍 15%
北部でJPモルガン・JDロックフェラー・カーネギーが大儲け
南部では富の破壊が起こった
敗者から勝者への富の移転


日本の平等性
鎖国貿易
諸大名が幕府に管理された

4章 国家総力戦

日本の大規模な平等化
WWIIでエリート層の壊滅
日中戦争から太平洋戦争へ
国家総動員法での企業の弱体化
戦後政策による所得ととみの分散
財閥の解体
海外資喪失と金融崩壊
企業別労働組合
農地改革
大量動員に基づく完全平等化

5章 大圧縮

30年戦争の悲劇:1914〜1945
2度の大戦による先進国の富の劇的な分散

6章 前産業化時代の戦争と内戦

大量動員4-4.5%
従来は1−1.5%

7章 共産主義

WWI後インフレ1917年の共産党革命
土地の再分配
銀行の国有化・富裕層の財産没収
少しでも持っていると攻撃される
全体が貧しくなる
1930年 スターリン 反富農政策
捕まった多くは餓死:処刑 600万人
1937年−41年 都市エリート大粛清:処刑・収容所 700万人
1988年 国家管理経済破綻 ジニ係数 0.26
ロシアになり1995年のジニ係数 0.45

暴力なきところに平等はない
「最もおぞましい階級闘争」:毛沢東の中国
1934年 長征で陝西省へ移動
貧農地でも再分配を実施
1945年以降、日本軍協力者たちの資産を没収
1950年代も村の集会で地主を吊し上げて土地没収
1951年までに200万人が殺される
1952年からは都市のブルジョワ処分
処刑・自殺・収容所送り
1959−61年の「大躍進」政策の失敗せ大飢饉 2000−4000万人の餓死者
毛沢東政権末期で収容所に送られた5000万人のうち2000万人が死亡
ジニ係数 1976年 0.31 1980年 0.19 2000年 0.51
北ヴェトナム
キューバ・ニカラグア
カンボジアの凄惨な暴力
1975年 都市住民の追放
人口の1/4 200万人が粛清 

2度の世界大戦が最大1億人の命を直接・間接に奪った

共産主義もまた、中国とソ連を中心に、ほぼ同じだけの数の死者を発生させている

その痛ましいほどの凄惨さにおいて、変革的共産主義革命はまさに大量動員戦争に匹敵する
これこそ平等化をもたらす黙示録の四騎士のうちの二人目なのである
共産主義が多くの血を流して手に入れた大幅な物質的平等というものは、もはや影も形もなくなっている

8章 レーニン以前:共産主義革命の原型

フランス革命
1989年当時 ジニ指数 0.59
土地の再分配
インフレ
太平天国の乱
1850−1864 神の崇拝と私有財産の否定
ユートピア思想だけで平等化は起こらなかった
古代ギリシャとローマの奴隷蜂起
 多発したが平等化には寄与しなかった

中世後半の欧州
1323ー1328年フランドルの反乱
1328年のルーアンの反乱、
1358年 フランス ジャッックリーの乱
1381年 イギリス ワット・タイラーの乱
財政的な不満が中心であったが失敗に終わっている
1437年のトランシルヴァニアの農民反乱、
1514年のヴュルテンベルクの「貧民コンラート」の乱
1515年のスロヴェニアの農民反乱、
1524-25年 ドイツ農民戦争
1542-43年のスウェーデンのダッケの反乱
1595-96年のフィンランドの棍棒戦争
1594-1707年に4度発生したクロカンの乱と呼ばれるフランスの農民蜂起、
1653年のスイス農民戦争、
1796-1804年の中国の白蓮教徒の乱、
1834年のパレスチナの農民反乱、
1862年の朝鮮の壬戌民乱、
1906-07年に始まったルーマニアの農民一揆
1920-21年のタンボフの反乱と呼ばれる反ソヴィエト農民反乱など

9章 国家の破綻と体制の崩壊

国家の破綻:国民に公共財を提供できなくなる
唐の崩壊
618年〜900年
ローマ帝国の崩壊
ミケーネ
マヤ
ギリシャ

体制の崩壊:定着している社会の複雑性を急速に失うこと
古代エジプト アッカド王朝の崩壊
現代 ソマリアの崩壊

10章 黒死病ー暴力ではない暴力的破

1320年代ゴビ砂漠で ペストの発生
東は中国へ
南はインドへ
西は中東・地中海沿岸・欧州へ
1350年には地中海沿岸に広まる
1400年までに欧州の人口は25%以上減少した
労働者の賃金が高騰した
ペストは1500年までに17回ほど流行した
ジニ指数も0.3から0.45へと上昇

11章 流行病・飢餓・戦争ー複合して発揮する平等化の効果

165年 アントニヌスの疫病
天然痘と推定され、死亡率25%
541−750年 ユスティニアヌスのペスト
 コロンブス以降 1492年 アメリカ大陸に持ち込まれた欧州の伝染病
天然痘
アステカ族は壊滅
はしか
インフルエンザ
一世代に一度は発生
征服者の殺戮と合わせ多くの国が滅びた
人口の半分以上がいなくなる
疫病の後は労働者の賃金は上がり平等化が進んだ
1315−18年 欧州大飢饉
1845−48年 アイルランドの大飢饉
その後400万人が出国
アウグスブルグは30年戦争とペストで都市が破壊された
1616−1646年で人口は半減した

12章 改革、経済危機、民主主義ー平和的平等化

価値はどこに?
300年前 フランスの富の2/3は土地
帝政ロシア
戦後の日本
ペルーのクーデター
土地改革は不平等の解決には役立たない
多くの暴力が伴うことが平等化に効果がある
経済危機は不平等を減らさない
大恐慌でも富の不平等は変わらない
民主主義は平等化に貢献しない
強力な有権者によって独占されるため
経済成長が不平等を生み出すため

13章 経済発展と教育ー最大級の力を持つのか

14章 もしも・・・だったら? 歴史から反事実仮定へ

産業化以前の不平等:ゆっくりした不平等の拡大
産業革命以降:工業化・化石燃料
暴力なしの平等化は起こらなかった

15章 現代はどうか?

1980年以降各国で拡大する不平等
教育による差
グローバリゼーションによる不平等化

16章 未来はどうなる?

何千年にもわたり、歴史は、不平等の高まりあるいは高止まりの長丁場と、散在する暴力的圧縮を繰り返してきた。
1914年から1970年代あるいは80年代までの60~70年間に、世界の経済大国と、共産主義体制に屈した国々の双方が、歴史上最大級の大幅な平等化を経験した。
その後、世界の多くの地域が次の長丁場となりそうな期間に突入し、継続的な資本蓄積と所得の集中に回帰した。
歴史的に見れば、平和的な政策改革では、今後大きくなり続ける難題にうまく対処できそうにない。

だからといって、別の選択肢はあるだろうか? 


経済的平等性の向上を称える者すべてが肝に銘じるべきなのは、ごく稀な例外を除いて、それが悲嘆のなかでしか実現してこなかったことだ。何かを願う時には、よくよく注意する必要がある。

コロナウイルスが蔓延する今【暴力と不平等の人類史】の著作の持つ意味は重要だと考える。不平等緩和の4つの要因の内の一つが疫病で、歴史的にどのように猛威を振るったかという事実の集積と、その猛威の残した結果をまとめているから。コロナウイルスの波及について「リモートワークをしながら考える」良書である。
人生100年大人の学びは、最近の新しい知見による新しい解釈の本を優先的に扱っている。そして、国際金融資本が世界を見ている視点もわかる。

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