【日本の歴史 上・下】山本七平著 漱石の「こころ」の解析から南北朝での天皇の持つ矛盾を突く遺作

冒頭の、谷沢永一氏の解説が、この本がイザヤ・ベンダサンの4部作目としてますます冴え渡った中味で、遺稿で読めるのは大きな価値があると始まる。
底本は雑誌「諸君」1973年1月号から22回掲載された「ベンダサン氏の日本歴史」である。

構成は第I部 夏目漱石「こころ」に見る現代日本精神 3章構成
第II部南北朝と天皇 17章構成
である。

山本七平氏の、遺作とされるこの作品は正直言って私もよくわからない。
わからないことをわからないとして残すことは、人生で重要である。
わからないものは、わからないのだから。
ここで素直になれるか、小賢しく生きるかで人生は分かれる。

以前、人生設計を日本で最初に作り上げた奥井先生に教えていただいた「絶対評価で人生生きろ」とのお言葉がその答えである。わからなくても、課題を抱えていれば答えの手がかりがつかめるのですよ。(答えではないところに注意)
それをつなげると、いい人生になりますよ。

山本七平氏の「日本の歴史」に戻りましょう。
ここでは2つのテーマ、漱石の「こころ」と南北朝の「神皇正統記」に関する「思考実験」で日本の歴史がまとめられている。山本氏の日本人論の究極である。

私は、山本氏の日本人論の発端は「空気の研究」だと思う。1960年台に出て、未だその切り口の新鮮さは変わらない。(KYはこの派生形である)
山本氏の思考実験に我々は何を当てはめるか、これが現在の日本人の閉塞状況を開放する「カギ」だと思っている。

[追補]190720 中田敦彦YouTube大学より 夏目漱石「こころ」前編

[追補]190720 中田敦彦YouTube大学より 夏目漱石「こころ」後編

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