【官僚の掟】競争なき「特権階級」の実態  佐藤優著 2018年刊

【官僚の掟】競争なき「特権階級」の実態 
佐藤優著 2018年刊

佐藤さんの著作で、最後まで読み切ったのはこれが最初の本である。読み切った理由は、引用される比較が、歴史の読み解きから入っているから。

ポイントは、安倍内閣を取り巻く中に、官僚の中でも、特に「経産省」中心としたメンバーが、安倍内閣の「反知性」「超然性(すべてを自己都合で押し通す)」を支えているというものである。

官僚も本来の「国民からの税金」で「国民のための政策」という視点は抜け落ち「われは国家なり」「総理の意向が国益」という思考に陥っている。佐藤氏はそれを第二官僚制度とよんでいる。

こんな時代、残りの省庁はひたすら「波風を立てない」行動に移る。ここでは、外務省の、北方領土返還の行き詰まり、米国と北朝鮮会談での日本外し(拉致被害者返還放棄)が露呈していると指摘する。

そして、国民は、非正規労働者階級が激増していること、そして階層ごとの不安定さを増していることを指摘。その中で、官僚は「国民から税金を収奪し、見せかけの再配分をして食っている人」と指弾する。

佐藤氏が引用する、ナチがワイマール憲法下で「合法的に」「独裁権力を構築した姿」と安倍内閣の取り巻きが「第二官僚制度」を通じて「合法的に」権力を集中する姿は、重なっていると警鐘を鳴らしている。

今の時代を、体系立てて説明している好著である。

コメント

  • コメント (3)

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  1. rseki0508
    • SekiRyotaro

    おっしゃる通りだと思います。官僚が自己都合の上で思考した結果が、結局、国家を動かす施策につながっている・・・これだと、「発展」ではなく、どう官僚間の人間関係というポリティクスを生き抜くか?という思考の上での議論にしかならず、発展的な意見、そして施策につながらない・・・イコール、世の中を変えていこうという大局的な考えをしている国に勝てるわけがなく、日本は、ガラパゴス化していくのだと思います。世界を見ること、自己都合よりも世界を変えたいという大局的な見方をする思考が必要なのだと思います。

    • yagihiroshi
      • yagihiroshi

      関さん、ありがとうございます。
      官僚の思い込みが次の世界を作るのは、怖いですね。
      騙されない国民になるために、マナビましょうね。

    • yagihiroshi
      • yagihiroshi

      はい、限定局所最適化の失敗が太平洋戦争です。
      このとき、マスコミも国民も日本は勝てると思っていたようです。
      すなわち、情報がなければ人間は簡単に誤った判断をするのです。

      マナビで自分の考えを作り上げたいと思っています。
      よろしくお願いします。

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