【AI vs 教科書が読めない子どもたち】新井紀子著 東洋経済新報社 2018年刊

数学者の立場から見た、AIの限界とAIが得意な分野
日本の初等中等教育は明らかに今後AIに奪われる分野へと子供たちを導いているという警世の書。人生100年時代の学びにとって、初期の教育が重大な危機にさらされていることを強く訴えかけている。

これは、子供に限らず現在仕事をしている人々にも当てはまる話。日本は、ひたすら低賃金にしかならない仕事を、仕事だと思っている可愛そうな国。
(それ以前に、書いた文章内容がわからない、という生徒が多く、衝撃的)

AIはすでに米国と中国が先頭を切って走っており、周回遅れの日本にビッグビジネスを創造できる可能性は低い。著者は専門の現代数学的な状況とAI(Big Dataサイエンス含め)をもとにシンギュラリティは来ないし、人間の幸福感を満たすことは不可能と言い切る。そして、日本政府が「意味なくAI投資する無駄」を指摘すると同時に、米国の企業が有用な分野に巨額の投資をしている格差を指摘する。日本は、現状の理解すらできない国に成り下がっていると手厳しい。
(これは、第5世代コンピュータの大失敗を、検証していない結果であり、太平洋戦争と同じく、戦争の結果を何ら検証する情報も不足し、検証も実施されない姿として鋭く指摘している)

話を、教科書が読めない子どもたちに戻すと、今のままでは「日本語が読み取れない子どもたち」が多い実例が数多く取り上げられている。これは、子どもたちの未来の職業がすべてAIに置き換えられてしまう危険があると指摘する。
著者は、自ら読み取り能力確認のReading Skill Test研究所を立ち上げ、この問題に正面から取り組もうとしている。素晴らしいことだ!

現実をしっかり見て、次なる対処を考えるしか個人ができることはない。それには、広い視野での視点と、毎日のたゆまざる勉強が必要だ。

この著作は、教育関係者のみならず、現代に生きる人達は必読の書である。

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