認知革命=嘘が当たり前の世界
すでにお読みななっている方も多いかと思います、私にとっては衝撃的な本でした。
理由は、薄々感じていたこと(世界はプロパガンダから成り立つとか、ゲノムこそが究極のBig Dataであるとか)を理路整然と説明され、そして人間の将来がすべてDataとアルゴリズムによって世界が統一化されそうだということ。
私が衝撃を受けたことは、次の3点である
第一に、認知革命という「虚構を信じる能力」を持ったホモ・サピエンスという種族が「虚構を信じる能力」世界を支配したという事実。
今まで、進化論を信じていた私は「なぜネアンデルタールから人間へのつながりの人類がいないのか?」と不思議に思っていた。
「虚構を信じる能力」を持ったホモ・サピエンスに滅ぼされたと著者は解明する。(一部の交雑は否定されていないが)
今から7万年前に獲得されたとする「虚構を信じる能力」は言語も同時に使い、ホモ・サピエンスはアフリカ大陸南東部(エチオピアから南アフリカまでの範囲)から北に向かって移動を始める。
アフリカ内陸の北部に展開するもの
エジプトから中東経由で欧州へ展開するもの 7万年前
中東からインド方面へ展開するもの(インド・アーリア系)6万年前
インドから南太平洋経由でオーストラリアへ 4万5千年前
そして、モンゴルからベーリング海峡を渡って北米、さらに南米へ 1万6千年〜1万4千年前
となる(本書 地図1 ホモ・サピエンスによる世界征服)
「虚構を信じる能力」は最近では、共産主義、ファシズムでも活用されているし、自由主義諸国でも、プロパガンダ、フェイクニュ−スなどでも大いに利用されている。
これは、私がシリコンバレーに移り住んだ前提、シリコンバレーから始まる「科学技術に立脚したテクノロジーの進歩が、世界を変える」という思い込みにブレーキをかける。すなわち、技術だけではないもの(虚構)がホモ・サピエンスの中心に居座っており、科学はその虚構のしもべとなることを意味するからだ。
農耕時代に入り、狩猟時代に比べ生活水準は下がった
第二に、狩猟生活の時代の生活水準は、農耕時代に入ってからの水準よりも高かった可能性があること。
狩猟は、労働時間の柔軟性を持つが、農耕社会は地域、季節に縛られた生活を要求され、それ故、飢饉では大量の餓死者を出したりしている。
農業革命は、1万2千年前に起こり食料としての植物と、動物の家畜化も同時に行われた。しかも、食料は今と同じような小麦、稲、芋などのでん粉類、豆類などが中心である。
科学革命は、客観性により人間をモノとしてしか見ない
第三は科学革命が自由主義を崩壊させ、人間はDataとアルゴリズムの奴隷になる可能性が高いという点。
著者は7万年前の「認知革命」1万2千年前の「農業革命」、5百年前の「科学革命」を経て社会を変えてきた。
最後の「科学革命」が欧州がアジア、アフリカ、米国を国家の拡大・市場の征服する。
科学に裏打ちされた、わずか2百年前の産業革命が、家族とコミュニティを発生させた。
そして、科学技術の落し子である「核兵器」は最初の2発が実戦に使われた以降は「戦争抑止力」としての役割で利用されている。
最後の結論は、Big Dataとアルゴリズムの飛躍的進歩で、人間の行動パターンは「相当正確に把握、予見」できるようになった。さらにバイオテクノロジーの進化は、ホモ・サピエンスは「自分の意識」を持っているという根拠が無いと断定する。
そして、ゲノムの改変技術はすでに手のうちにあり、どうやって実行するかが直近に迫っており、それがホモ・サピエンスの更なる「アップグレード」を目指すとする。「ホモ・ゼウス」の出現だ。
ホモ・サピエンスは「賢い人」という意味でホモ・ゼウスは「賢い神」という超人類を指す。
ホモ・ゼウスは、Dataとアルゴリズムで判断し行動する、そのときに現在のホモ・サピエンスの出番はどこなのだ?というのが、著者の問いかけである。
時代はここまで差し迫っていることを、痛感させられた。
人生100年時代の学びの視点から
私は、著者の規定する「自由主義」「人間中心主義」を信じてきていた。
科学技術と自由が、ホモ・サピエンスの新しい地平を切り開くと思ってシリコンヴァレーでの生活を選択した。
しかし、著者は、グローバリズムを支えた自由主義もすでに崩壊していると指摘している。すなわち、世界の課題(気候変動対応や、難民救済問題など)を解く人は現れず、人類はしばらく漂流するかもしれない。
気になることは、著者が「ホモ・デウス」が出現する場所はシリコンヴァレーと断定していること。それもエンジニアから生まれると。
私の、シリコンバレーに移住した前提は崩れたが、新しい必要性が生まれた部分でもある。人生100年時代の学ぶテーマは、外からの刺激に対応することも重要だ。
ハラリ氏の著作は来年の探求・実行テーマとして取り組むことにした。
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