【深層学習の技術的側面から見たAI医療の可能性と実際】JPMA-WEST講演会 190622 PFNA COO, PM CEO 大田信行氏

JPMA-WESTは日本製薬工業会米国西海岸支部のことである。Teikoku Pharmaの森社長からご縁を頂いている。今回はPreferred Networks NA社(PFNA)のCOOであり、Preferred Medicine社(PM) CEOである太田信行氏の講演を聴くことができた。血液による最新がん診断技術への応用、の話である。

わかりやすい深層学習(Deep Learning)の解説。なんと驚いたことに、私が目指すyagihiroshi.net の構図と全く同じであることだ。(これは後日このブログで解説させていただくが)

要点は3つ
一つは、DNA解析コストの圧倒的下落、全ゲノム解析 $100 データ精度の向上ができた
もう一つは、解析手法の確立:non coding RNAの解析 クライオ電子顕微鏡の利用
そしてDeep Learningの活用である。

大田さんお話の中でも「これはもうすぐ医学論文紙に発表されます」という内容がたくさん含まれた状況になっているようだ。日本ではがんセンターとの共同研究、日本以外では大田さんを中心として、三井物産との合弁会社Preferred Medicine社が事業開発を行う。久々に胸のすくような内容の講演であった。

【中国の巨大な影】
しかし、講演中、講演後のQ&Aでは【中国の巨大な影】が語られる。
【AIに関して】
中国は、米国から優秀なAI研究者(米国で年収100万ドルを超える)を同じ年収で中国に迎えている。
【DNA解析機器】では、Illuminaの解析機を多数購入しているのは中国
創薬に必須と言われるクライオ電子顕微鏡も圧倒的に中国の購入が多い
【分子編集CRISPR】では、すでに人間への適用が進められている。
以前このブログでもMIT Technologyで引用している。

そして、大田さんは世界でもトップレベルの医科系大学院大学UCSFでも「バイオ研究のためのDeep Learning」という6ヶ月コースも受け持つ。
週2回 各2時間の講義で、宿題が山程出るという。それでも、インド人、中国人学生は食いついてくるし、優秀だという。「日本人受講者はいますか?」と尋ねると「いません」との答え。日本の位置づけがここでも明快にわかる情報であった。

世界は日本を無視して「ずんずん前に進んでいる」
今後、成長すると思われる部分は、世界には日本の割り込む余地は無いだろう、というのが、正直な感想である。

人生100年時代の学びは、いつはじめても遅くはない。しかし学びの対象を見る視野は、今すぐ広げておかねばならない。例えば、米国教育界では現在はSTEAMという言葉が出回っている。Science、Technology、Engineering、ArtそしてMethematicsである。昨年まではSTEMであった。Artの重要性が再認識されたためである。時代の変化に対して、刻々と対応しているのが、米国、中国である。日本はといえば、日本語での限界に議論が限定されている。
世界の早い動きを学ぶ入り口は、英語を読むしかなく、修行を積むのは世界に飛び出すしか手がないように私には見える。

大田さん自身も、Yale大学での博士論文を取得するについて、コンピュータによるBioinfomaticsだけでなく、その裏付けとなる、コンピュータによる予測が正しいことを自分でWetの実験(細胞などを使ってバイオの実験をすること)を行い実証することが博士号の条件だった。こうした苦労を重ねて、Yale大学で歴史上初めてのコンピュータシュミレーションを使った生化学、生物物理学の博士号の取得につながった。その結果が、今日のAIとバイオの現場データの結びつきで、世界の最先端を走るようになっているわけだ。
努力は必ず報われる実例でもある。

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