ECONOMIST誌は英国の雑誌だけあって、視点が幅広く(世界の範囲が広い)論説に歴史を感じさせ、しかも辛口である点、有益な情報源として購読している。今回は、Hong Kongでの犯罪者引き渡し条例の反対デモ記事である。
要点は3つ
香港の住人にとって、本土政府は法よりも共産党指導部の意向が優先することが明確なので、現在の国際法上でビジネスをしている彼らにとって、いつ犯罪任意されるかわからない法は阻止する。
外国の会社の本社が香港に1300以上あるので、それらの会社への政治・経済的な利用に懸念があること。
現在の米中貿易戦争中に米国が中国とのパイプを失うこと、が挙げられている。
(最後の項目はデモの原因ではない可能性が強いが)
下の図は1997年のイギリスから中国への香港返還から現在までの香港の中国GDPに占める割合と、各種反対活動の推移である。Hong KongのGDP占める割合は18%から3%以下に低下している。
北京政府にとって、Hong Kongの相対地位の低下と合わせて政治的な従属性の強化が進められていることがわかる。これは、対米貿易戦争での中国の優位性が背景にあることととつながっている。
米国のラジオニュースではHong Kongのデモは、北京政府が法令を棚上げしたために一旦収束すると報じられているが、米中貿易戦争も絡めて考えると北京政府が(経済的な重要度の低下している)Hong Kongに簡単に妥協するとは考えにくい。
6/15のBBCの最新ニュースで香港政庁の行政長官林鄭月娥氏の発表があった。
今後の成り行きを継続的に見守るというものである。
(香港を過去に支配していた英国のBBCが率先してこのNewsを扱っている点にも注目したい)
過去の北京政府の行動を顧みながら、今の行動を決めてゆく。
人生100年時代の学びは、経験値を今に活かすために重要であることがよく分かる。