このようなタイトルの本はあまり読まない方であるが、この著者は「上から目線でなく」論じているので好感が持てた。私の心配どおり、自分の確立できない若者が周囲から「排除されるのが怖くて」「根拠のない前向き思考」と、「何も生み出さない後ろ向き思考」に陥っている姿が描かれる。
これは、学校時代からの思い込みを引きずっている場合が多いと私は認識している。ルールを守れば優等生、成績良ければ優等生、みたいな流れである。それは枠を自分で決めてしまうから「自ら可能性を捨てる行為に等しい」
気になる言葉としては「相手に対するレスペクトの欠如」は大きな問題だと思う。同一性で排他的な社会ではこれは、すぐにいじめや差別につながる。また、これが進むと、弱者を取り巻く環境がファシズムへの足がかりとなる点。
時々、若い人から仕事について相談を受ける。私の答えは「常に与えられた仕事の限界をやる」事を勧める。理由は、自分のスキルが向上する機会が増えるから。人生100年時代の学びを考えれば、会社の仕事はステップと考えるべきである。ここでできない理由を考えるより、今の仕事の中で、どこまでやれるかとか、次の可能性のあることをトライしてみるとか、非常に重要だと思う。
その経験が積み重なって、人生の奥行きができてくる。当時は無我夢中でも、経験が積み上がり、それがつながってくる楽しみは、やった人間でないとわからない。劣化と言われようと言われまいと、自分を信じることで進むことが後悔しない人生であるとここでは断言しておく。