中国の一人っ子政策は、1982年から厳格に運用され、各地域ごとの「人口計画長」の役目の人が子供の出生状況を厳しく管理した。当初は、食糧不足を危惧した政策であったが、2015年には廃止された。
この映画では、現在米国にいる女性Namfuさんが、自分の家族、親戚、そして村の元「人口計画長」などを訪ね、過去の経緯、当時のそれぞれの役割やその使命感などをインタビューしてゆく。
1980年代後半は、2人目の子供の堕胎や、新生児の遺棄など、生々しい映像が紹介される。
この間、公式には出生を認められなかった子供のうち13万人は海外の里親支援で引き取られた。
(90年代、私は成田からの便で、中国人の子供を連れた米国人夫婦と話したことがある)
インタビューは重たいが、関わった人たちは自分の役割をわきまえて「政策を忠実に実行した」
「それ以外取る道はなかった」という諦めにも似た雰囲気が随所に感じ取られる。
里子となった子供は、なぜか生みの親とは会おうとしない実態も明らかになってゆく。ほんの少し前の出来事であるが、政治に振り回される民衆の姿が浮き彫りになっている。
Amazon Originalの映画で、ぜひお勧め。
【One Child Nation】
人生100年時代、この映画に登場する人々は、このような政策大転換を数十年で経験してしまった。
私達は、政府というものが必ずしも正しくない選択をするということを念頭に置いて、自分の道を考えるべきであろう。それは現在の中国政府の抱える問題と同じものである。