陰謀論ではなく事実からの検証
馬渕氏は京大在学中に外交官試験に合格し外交官となり、そこから件ブルッジ大学に留学して経済学部を卒業する。
英国、インド、ソ連、イスラエル、タイ、NY、ECに赴任し、キューバ大使、ウクライナ兼モルドバ大使を歴任している。
この著作は、現地に赴任した時の情報、人脈、を通じて検証されている。
内容は「学校では教わらない歴史」である。
これからの、世界の動きを見る上で重要なので、要点をまとめた。
(ウクライナの)争点は見えない統治機構が仕掛けている
馬渕氏の主張:
争点は主としてアメリカとイギリスの主要メディアを所有、またはそこで影響力を行使している人々によってです。これらの人々はニューヨークのウォール街やロンドン・シティに本拠を置く国際金融資本家たちです。これら資本家の世界戦略に沿って事件の争点が決められているのです。
争点が何かを理解することはウクライナ情勢を判断する上で決定的に重要です。 ところが、日々ウクライナに関する情報を受け取っている読者の方々は、いま述べたようなメディアの争点は誰が決めているかとの問いかけ自体に違和感を覚えた方が多いことと思います。
しかし、まさに皆さんが当然のようにメディアの報道からウクライナでの出来事を受け取っていること自体が、ウクライナ情勢の真相を見破ることを困難にしているのです。メディアの報道は決して公平ではありません。
米国も同じ穴のムジナ
アメリカの真の支配者は大衆の目に見える形では存在していないということです。大統領や諸閣僚、上下両院議員などではないといっているのです。アメリカを真に支配しているのは目に見えない統治機構であるというのです。
第一次大戦頃から始まる
アメリカではすでに第一次大戦のころから国際金融資本家たちが真の支配者なのです。もちろん、この実態はいまも変わりません。そうしますと、ウクライナ情勢に関する私たちの判断基準はメディアによって与えられており、しかもその事実に私たちは気づいていないということになります。いまウクライナ問題の論点は、彼ら国際金融資本家たちが決めているのです。
ロスチャイルド200年の歴史
[ウイーン会議](1815年)ナポレオン敗退後の欧州の姿を模索 「会議は踊る、されど進まず」
ワーテルローの戦い(1815)でネイサン・ロスチャイルドは巨額の富を築く(そして英国を支配する)
ウイーン会議で[スイス永世中立国]が承認される。
(のちに多国籍の国際金融の拠点となる)
ユダヤ人の解放
能力のあるユダヤ人:政府、役人、教育者、経営者
貧しい都市のユダヤ人:革命分子
(国際主義はユダヤ人のディアスポラ(離散)思想と重なり合うため、ロシア革命へとつながる)
民族主義とロスチャイルドの戦い
ロシア皇帝 アレクサンドル1世は欧州に国際機関として「キリスト教国による神聖同盟」を提案する。
しかし、ロスチャイルドは金融による欧州諸国の支配を目論むので成立せず。
そして、ロスチャイルドの「中央銀行」設置提案も退ける。
1825年アレクサンドル1世は旅行中不審死を遂げる
1835年 米国 Andrew Jackson大統領は中央銀行の再設立を認めず
[共産党宣言](1848年)
[共産党宣言](1848年)カール・マルクス
ロスチャイルドが共産主義研究に資金援助
[米国南北戦争](1861−65年)
リンカーン大統領が1862年北軍の戦費のためにアメリカ国家の信用に基づく紙幣を発行
英国が猛反発(債務を負わない紙幣だから、富の移動がない)
ロシアのアレクサンドル2世は北軍を支援
リンカーン暗殺(1865年)
アレクサンドル2世 ナロードニキにより暗殺(1881年)
[ロシア革命](1905年 1917年)
[ロシア革命]1905年 1917年(2月革命)(10月革命)
ユダヤ人による革命と呼ぶのが正しい
レーニンによる権力奪取
国民やロマノフ王朝から財産没収し、国際金融資本に返済
(米国ウイルソン大統領は「素晴らしい民主主義国家が誕生したと絶賛した)
[米国ウイルソン大統領]
著者馬渕氏は「ウィルソン大統領が極めて凡庸な学者であったがゆえに、今日まで続くアメリカの悲劇が開始された」と手厳しい。
大統領の周りには、社会主義者が取り巻いていた(FDルーズヴェルト大統領の時代も同じだし、キッシンジャーはニクソン大統領の私的顧問)
ウイルソン大統領は1913年準備制度を成立させ、連邦準備銀行(FBR)を設立させたこと
[第二次大戦後の処理はロンドンのシティが決めた]
スターリンは一国社会主義に徹した。
ユダヤ人トロツキーの国際革命主義とは相容れない。
スターリンとチャーチルはWWII 終了間際に(ヤルタ会談・テヘラン会談以外にも)世界分割の交渉をしていた。
その原案はシティから出されていた。
(ワレンチン・ベレズホフ著「私はスターリンの通訳だった」1995年刊)
[東西冷戦の真相]
馬渕氏は国際金融勢力による「ソ連」を利用した「米国」解体と見る
朝鮮戦争・ベトナム戦争・新自由主義
[政府介入排除の経済学]
ハイエク/フリードマン(シカゴ・ボーイズ)が、中央銀行への国家の介入を有害とする
FRBボルカー・グリーンスパン(リーマンショック):通貨供給量で経済を調整
(高金利政策は、米国製造業を空洞化させる)
サッチャー、民営化するも教育の後輩を招く
その後英国は教育重視に舵を切る
[新自由主義を広めた4人]
新自由主義はは利他主義を排撃する
1.アイン・ランド(ロシア生まれのユダヤ系米国人)
徹底した利己主義の主張:強者の論理・原理主義的様相となり極論化
グリーンスパンが師と仰ぐ
2.ズビグニュー・ブレンジンスキー
グローバル化(世界経済への自由な参入)は新しいテクノロジーによる自然で避けられない帰結である。
IMF、世銀、WTO、UNもそのための役割を持つ
「民主化」「民営化」「グローバル化」がシナリオ
アラブの春:民主化選挙がコントロール手段 カダフィの暗殺へ
ウクライナもロシアの「民主化」IMFの登場「民営化」へのプロセスと見ることができる
3.ジャック・アタリ(アルジェリア生まれのユダヤ系フランス人)
2006年「21世紀の歴史」刊行・プロパガンダ本
仏ミッテラン大統領の特別補佐官(欧州のキッシンジャーと考えて良い)
自由金融市場が国家を超えるのでそれを統一する民主的世界政府が必要である!
国家の歴史は「国家に金を貸すものの歴史である」「国家に金を貸すものが歴史を作ってきた」
世界統一通貨・世界統一政府の樹立が狙い
4.ジョゼフ・ステグリッツ(2001年ノーベル経済学賞)
「世界を不幸にしたグローバリズムの正体」を書くが、グローバリスト。
中央銀行への政府介入を排除
ロックフェラーは世界統一政府樹立を支援
ケインズの道徳不要説
ケインズは市場に道徳は不要と唱えた
ルーズヴェルトのニューディール政策はケインズ政策を具体的に取り進めた。(背後には共産主義者が操っていた=国際金融資本)
利他性、道徳の経済へ
馬渕氏は「中央銀行の政府管理」こそ各国の経済救済に必要な手段と強調する。それは、資金を国家で回せるから。
道徳観を破壊するグローバル政策は破綻すると見る。
グローバリズムは21世紀の共産主義であり、ナショナリズムの集合体の国家でなければ各国の人々は生きてゆけないと断言する。
日露の協調が重要
馬渕氏は、ロシアは明治以降日本が民族主義のもとに産業を拡大してきた歴史を学びたがっている。そのために日露の協力関係が新しいナショナリズムの世界を作る上で重要と指摘している。
日露関係のアプローチとして、重要な視点である。
馬淵氏は林原チャンネルで「ひとりがたり馬渕睦夫」という番組も持っています。
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ライフワーク「ユダヤ教徒の研究」を宣言してから、読む本、見るYouTubeが急増した。
自分の「世界史の常識」の不足を痛感する。
しかし、共産主義に翻弄された70年を過ごした人たちにとって、学び取ったものは何だったんだろうかと思い至る。
人生100年時代の大人の学びは、学んで生きること、そしてこのブログは学んだ記録なのである。