【昭和天皇物語 1】【昭和天皇物語 2】【昭和天皇物語 3】能條純一画 半藤一利原作

【昭和天皇物語 123】
能條純一画 半藤一利原作
2018年の昭和史研究の最大インパクトのマンガでした。
これも、熊本のマナビ仲間の女性Tさんからのおすすめでした。
理解がにお役に立つように、昭和天皇物語のメモをリンクします。

昨年夏日本訪問で、熊本市に4日ほど滞在しました。
毎日、勉強会形式でミーティングを行いました。熊本市には昔からお世話になっている、会社を成長させながら、市民活動取りまとめの天才フィクサーがいる。その方は、2年前の震災直後から復興活動を始め、現在はその盛り上がりを熊本の活性化へと大きくかじ切りしている。
その勉強会の中で、私が歩きサンドリア図書館の図書をお話したところ、参加した女性がそのコレクションがあるなら、【昭和天皇物語 1 2 3】がKindleにあるので、おすすめですよと言われた。

熊本の集まりも終えて、成田からSan Joseへの飛行機の中で、【昭和天皇物語 1 2】を読んで、ビックリした!
アルキメデスがEUREKA!と叫んだ気持ちがわかるほど、ショックを受けた。私の知りたかったことが、見事につながったためだ。

私は太平洋戦争中の日本の政治と軍部の動きを学んでいる最中ですが、軍部の圧力に対して、天皇が常に「国民は元気なのか?」「国民は大丈夫なのか?」と気にかけておられる描写が多いことに、気がついた。

国民を大事にする思想は、どうやって培われたかを知りたかった。この本の中にヒントがあった。いや答えがあったのだ。

まずは、幼少のとき(明治38年から)の養育係は、足立タカさんなのです。
天皇に、人を大切にすること、戦いの精神ではなく平和の精神が重要であること、興味のあることに集中する力などを教えます。
そして、10年間の養育係を終える

明治44年、日露戦争の乃木大将は、明治天皇のはからいで、学習院院長になり、初等科の充実(昭和天皇の教育)に力を入れます。乃木大将は明治天皇の意を汲んで、昭和天皇を「国民の幸せをもたらす天皇」になってほしいと、身を持って教えます。
明治天皇は明治45年に亡くなり、乃木大将は昭和天皇に、山鹿素行の「中朝事実」という本を手渡し、その後明治天皇の大喪(葬儀)の同日自刃します。

その後、乃木大将の意を受けた宮中は昭和天皇に「帝王学」を学ばせます。
場所は東宮御所内の御学問所、大正3年創設。総裁は東郷元帥。倫理・帝王学を受け持ったのは杉浦重剛氏。明治天皇のお妃、昭憲皇太后が亡くなった年でもある。

杉浦重剛氏は、英国留学の経験もあり日本人魂の発露でも抜きん出ていた人。しかし、精神的に(頭が良すぎて)日本に戻ってからは神経衰弱で野に下ります。しかし、昭和天皇への倫理・帝王学を受け持つことで、彼は全精力を注入して、講義を行う。
その講義録が、深く素晴らしい(まだ、中味は私は見ていないが、これからの探索テーマだ)上に、面白く組み上げられている。昭和天皇が、杉浦氏を乃木将軍と見間違えるほど乃木将軍の雰囲気を感じたそうだ。

杉浦氏は、天皇と国民は助け合うものだという見解を常に行っていた。
歴史の授業では、白鳥庫吉氏が、神代の物語は神話で、歴史ではないと教えていた。
そして、昭和天皇は見事にそれら講義を吸収してゆくのです。

養育係の足立タカさんは、10年という役目が終わり、海軍少将 鈴木貫太郎のもとに嫁ぐ。
ここが、私の超ビックリしたところです。

終戦を決める御前会議の時の総理大臣は、この鈴木貫太郎氏です。
この漫画の原作者である、半藤一利さんの著書「日本のいちばん長い日」でも軍部の横槍で天皇の終戦の「玉音放送の音盤」が危うく軍部に押収されそうになります。それを軸ブレせずに乗り切ったのが、鈴木貫太郎首相です。
私は、自分の中のそれぞれの点が、一挙につながりました。
そして、戦後、昭和天皇がマッカーサーと会ったときに、自らの戦争責任を申し出て、自分の命と引換えでも、国民を救ってくれと要請したというのも納得できます。
私にとっては、勉強仲間にヒントを貰って、抱える疑問があっという間に解けた瞬間でした。

勉強って、続けていると、疑問点がいつの間にかつながって、すごい答えが出るものだと、実感した次第です。
そして、別の若いマナビの仲間Hさんからは、足立タカさんと鈴木貫太郎の記念館の存在を知らされます。早速、仲間を募って訪問してきました。また、「日本のいちばん長い日」という映画の存在もわかり、5月にはその跡地を追いかけるプロジェクトも予定しています。
というように、知りたい世界が次々と他の人からの情報で広がりを見せるわけです。これを、未来を切り開く道具として利用している、欧米の政府・経済界・教育界の動きは合理的なわけです。

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