2時間半の長編ドキュメンタリー
時代考証が優れ、当時の兵隊の姿を再現したり、兵器を実際に再生したりしている優れた内容。とりわけ、「泣く子も黙る」と言われたローマ帝国軍の訓練、規律、兵站や陣地の設定など参考になる。陣地は、毎回同じ構造で作られる。兵士は、どこに行っても、どこに何があるのかわかる仕組みになっている。
陣地の設営は、まさしくコピペの世界である。
兵站は兵士の食料確保が最優先。各兵士は約25Kgの武器、食料などを運んで戦う。食料の補給には、全長8万キロを超えるローマ街道が使われる。最優先で食料は供給された。陣地は場所が移ればその場所に最優先で設営される。兵士は工兵もかねており、今でも残る「水道橋」の建設も行っていた。水道橋の技術に関しては、現在は記録な残っていないが、石組みだけで作られており、いまでもその技術レベルの高さは驚嘆に値する。もちろん、水道橋の水は、街中の生活の基本で、浴場は兵士にとって、憩いの場であり、体育ジムであり、清潔な体で、健康維持のためである。
解説は英国の教授たちが中心で行われる。取材は、イギリス、フランス、ドイツへとまたがり、それぞれの国では、いかにローマ帝国軍と戦い「我が国は」「勝ったか!」の記述が多い。イギリスでは当時部族がローマ軍に戦い勝ったところが強調されている。ドイツではトイトブルグの話とか。フランスは水道橋の説明であった。話は変わるが、太平洋戦争での軍の上層部や大本営の人たちは、ローマ帝国軍を学んだのだろうか?と思ってしまう。これしか無い、みたいな発想で戦線を広げた日本軍の「反省材料」としてもこの映画は役立つ。人生100年時代の学びとして、歴史を今に読み替えることは大事なことである。
これだけお金をかけて時代考証をして作り上げた映画なので、面白い。学ぶために過去を丁寧に追わないといけない。このような地道な資料の寄せ集めが、歴史を現代に活かすための重要な基礎になる。
超オススメ