【文明の衝突】S.ハンチントン著 1996年刊 鈴木主税訳 1998年刊 著者の指摘が実際に起こる体験をした。今学ぶことが未来につながる

[私の学び]

1995年から米国に来て、読んだ本。
1991年のベルリンの壁崩壊で、ソ連邦も崩壊した。
自由主義諸国は、世界の平和の期待感で溢れた。
しかし、この本は「これからは政治対決ではない、宗教対立だ」と指摘した。
そして、出版されて5年後の2001年9月11日 米国ではアルカイーダテロが勃発する。
今読み返すと、文明が西欧と非西欧の対立になるとした上で、非西欧の中心がイスラム圏と中国の勢力拡大であると指摘した。
そして、2001年の9/11はその指摘が的中した。
その年、シリコンバレーで独立した年でもあった。
米国での生活の歓迎の幕開けであった。
そして、中国の台頭
米国の大学教授の情報解析能力には一目置く必要があると痛感した。

[内容概略]

読まれた方も多いと思うので日本に関するハンチントン氏の指摘をあげる。
日本の近代化は、文明の西欧化を伴わなかった。
そして独自の文明を持っているということ。
その文明が力を持ち始めてきていること。
その結果、文明としての独自性の強化、他文明との対立が起こりつつある。

世界の現存する文明は8つ
① 中華文明
② 日本文明
③ ヒンドウー文明
④ イスラム文明
⑤ 西欧文明
⑥ ロシア正教会文明
⑦ ラテンアメリカ文明
⑧ アフリカ文明

参考 消えた文明
メソポタミア
エジプト
クレタ
古代ギリシャ
古代ローマ
ビザンティン
中央アメリカ
アンデス

世界4大文明論ではないことに注意

そして、現在は経済成長に伴う社会の強大化に対し、個人は疎外感、アイデンティティの喪失感に苛まれ文化と宗教の復活へと動くと指摘する。
世界的に、近代化は西欧化を意味しない。

近代化の個人と社会への影響

ソ連(ロシア)のウクライナ問題
中国のチベット、新疆問題は既にこの本では取り上げられている

共産主義の崩壊=自由主義が普遍的と西欧は早とちりした

西欧(米国)は経済はさておき、道徳心の低下、文化的な自殺行為、政治的不統一が拡大している。
民族、国民性、宗教、文明に基づく文化的アイデンティティーに価値が置かれ始めている。

特記事項2つ

イスラム諸国と中華文明諸国の通常戦力非通常戦力の発展の抑制
日本が、西欧から離れて中国との和解に向かうことは避けるべき
と指摘している。(初版本P.479 掲載)

私の米国滞在中の世界の変化を眺めると、この本に指摘されていることは、実際に現実化している。
人生100年大人の学びとして、このような情報の検証が在米25年間でできたということは、幸運な体験だと思う。
すなわち、学んだことは、検証することで現代に生きるということ。
それは、今新しく学んでいることが未来に役立つことでもある。

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