【帝王学「倫理」19「改過」】杉浦重剛著 「倫理」より[YouTube]「改過」とは間違いを正すこと 人の上に立つ人が、過ちを直すことがいかに難しいか 諫める言葉の難しさを説いた後 過ちを直すと、自分の人徳が向上して 国内が「知」「仁」「勇」の機運に満ちて 正しく豊かな国になる

人は間違えないように注意しても間違えるものです 間違いをした時に、その間違いを改めないと歳を取るにつれて 間違いが積み重なります 間違えても、その間違いを直した人は歳を取るにつれて 間違いが減り、人格円満になってゆきます 言い換えると、前者は愚者でつまらないことしかできません 後者は賢人で、偉大な人格となり 多くの事業をやり遂げることができます

雄略天皇が葛城山で狩りをした時に、一時の激情で 家臣を殺そうとしたが、皇后が諌められて最後に お許しになり、そして言われました 「皆は、鳥や動物の手に入れたが 私はためになる言葉を手に入れた」 顕宗(けんそう)天皇が父の仇であるという理由で 雄略天皇の陵墓を壊そうとした時に 皇太子の億計(おけい)王の言葉を受け入れて それをおやめになりました 後光明(ごこうみょう)天皇が徳大寺実條(さねえだ) に言われて大酒をおやめになったことなどがあります 霊元(れいげん)天皇には次のような美談があります ある時天皇は(外国の)茶碗を手に入れた たいそう気に入って、公卿たちに見せた 藤原經敬(つねたか)は、これはまずいと思って 茶碗を見るために受け取る時に手を滑らせて 落として茶碗を割ってしまう 全員びっくりして固まってしまった 經敬は天皇の前に進み出て頭を地につけて申し上げた 昔から、天皇のお使いものは国産です 外国のものを重宝することは聞いたことがありません ぜひ、考えなおしてください 天皇その言葉を受け入れてお許しになりました

徳川家康が、大井川にある罪人を茹でた大釜を 浜松に輸送させる途中で、本田作左衛門がそれを見て 打ちこわしました そのリーダーに言ったのは 「家康公にお伝えください 天下を取る人間は罰則をすぐ考える どうしてこんなものを使うのですか 私は、恐れ多くもこれを壊しました」 家康公は、間違ったと作左衛門を呼んで謝りました

池田輝政の家臣に伊木正兵衛(せいべい)がいました 病が重くなり一度殿様にお目にかかりたいと言いました 輝政公は病床に見舞いました 正兵衛は 「死ぬ前に一言殿様に申し上げたいことがあります 殿は、登用させる時に細かいところまで調べます 侍を育てるには誠の心を信じて登用すべきです その侍は全力でお仕え申し上げるでしょう」 輝政はハッとして正兵衛の手を取り涙を流して 「あなたのいう通りだ。肝に銘じます」と言いました それから輝政は、広い心で武士の誠の心を待ち望んだので 池田家は大いに発展しました

マケドニアのフィリップ王は当時の最高の学者 アリストテレスに命じて「座右の銘」を選ばせました 毎朝、臣下に「座右の銘」を忘れないでください と言わせて、一日中それを実行しました

支那の孔子、その門人曾子(そうし)は 毎日三回は反省していたと言います このように、徹底していたのです 人間は「間違えないこと」が理想ですが それは普通はできません ですから、孔子も 「徳を身につけない、学問をしない 正しいことを学んでも実行しないなどあるけれど 間違ったことをしても、それを直さないことが 一番の悩みである」と言っています さらに 「間違えたらすぐ直しなさい」 「間違えても、直さないことを間違いといいます」 と言っております

貝原益軒が「改過説」を述べています 「人は誰でも間違えるので、間違えたら直すことが 一番重要である 普通の人はあまり知らないので過ちを知ることがない 過ちがわからなければ直せない 学問をする人は過ちを見つけることが得意だ すなわち、過ちを知るのが「知」であり それを直すのが「勇」であり 過ちを直して正しくするのが「仁」 である 間違いを正すことで、三つの徳が身につくのであります

人生100年大人の学び

間違いをした時の対応が重要で、人間関係も大きく変わってくることは私も人生経験上わかる。利だけで無く、心の信頼関係を作るために、自らが納得できる正しい行いをすることが重要な要因。上に立つ人の心がけとして重要。マケドニアのフィリップ王がアレキサンダー大王を育てた背景もわかった。

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